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[Business]要約:交渉のバイブル -交渉で重要な4つのポイント –

おはようございます!susken(@sustaina_ken)です。

本日は、1989年に出版され今なお読まれているベストセラー本、「ハーバード流交渉術」の要約をしたいと思います。

すごく理論的にまとまっている本で、交渉の原理原則から不利な状況の具体的な対応策まで書かれているので、持っておいて損はない一冊だと思います。

ロジャーフィッシャー(著),ウィリアムユーリー(著),金山宣夫(訳),浅井和子(訳),三笠書房 (1989/12/19)

※2011年に改訂版も発売されているようです。今回は私が読んだこちらを要約します。

こんな方におすすめ!

  • 社内外の調整を行っているビジネスパーソン
  • 調整で振り回されて疲れる、苦手と感じている方
  • ご自身の交渉をもう一歩レベルアップしたいと考えている方

大前提:友好関係が深まる交渉をしよう

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まず、大前提ですが交渉は人と人の話し合い。当たり前ですが人はコンピュータと違って感情があります。お互いが納得・満足して終わるように、友好関係が深まるように終えることが理想的です。だからこそ『相手に思いやりをもって接しているか』自問自答し、交渉に臨みつづけましょう。

Point 1:人と問題とを分離せよ

人は感情を交え話しますが、交渉事では時としてその感情が交渉をややこしくしてしまうことがあります。

そのため、まず意識することは

私たちは、なんの問題を解決しようとしているのか

という”問題”にフォーカスを当て、交渉相手と問題を分離することです。

①分離するために:相手の立場に立って心情を察する

コップに入っている半分の水を『まだ半分』と思うか『もう半分』と思うか人によって分かれるように、人によって事実の捉え方は異なります。
相手が各年の平均気温の変化、出生率、株価など客観的な事実を並べられたとしても、それをどう解釈しているかは相手次第です。

人と問題を分離しつつも『相手だったらどう思うのか』という視点で相手の心情を察する心がけをすることで、問題の裏側に隠れている本当の問題へとたどり着き、相手が言っている問題以上の解決につながるかもしれません。

Point 2:相手の主張ではなく利害に焦点を合わせよ

本書で定義する利害とは、本音の部分の願望や関心です。

相手となぜ主張が衝突しているのか、その主張の背景を掘り下げて見ましょう。また同様に自分自身の主張も掘り下げ、根底にある考えを顕在化させましょう。

①焦点を合わせるときに意識すること:利害が双方の利益になることがある

交渉というと、どうしても対立関係をイメージしてしまいますが、利害(本音の願望や関心)を聴くことが出来ると、結果として双方の利益になりことがあります。

例えば、賃貸物件を探している人(借家人)と家主とでは、次のような共通の利益が見えてきます

1.両者とも安定を望んでいる
家主:安定収入 借家人:安住できる部屋
2.両者とも手入れの行き届いたアパートを望む
家主:価値と評判を高めるため 借家人:そこに住むため
3.両者ともお互いが良い人間関係を望む
家主:きちんと家賃を払う借家人を望む 借家人:必要な修繕をしてくれる家主を望む

ハーバード流交渉術より一部引用

主張はこのような利害を包括して述べているいわば結論です。ですので、掘り下げ1つずつ整理することで、自分が納得できる糸口を見つけれるかもしれません。

Point 3:行動を決定する前に多くの可能性を考えだせ

交渉前、双方とも自分の主張が正しいと思いがちです。
しかし、Point1,2のプロセスを踏むことで、自分の主張が正しくなかったと気づくかもしれません。
なぜ主張が正しくなかったかというと、問題を分離し見えてくる相手の心情や利害が、当初の想定と異なるからです。

自分の主張が正しかったことを証明したいわけではないはずです。
あくまでも交渉のゴールは、”お互いが納得・満足して終えること”。正しくないことがわかったら、お互いが納得・満足して終える答えを再度探しましょう。

本書では最適解に至る手法として、”①ブレインストーミング”、”②問題を一般論⇔具体案という2つの切り口から見つめ直す”などで解決の選択肢を増やすことを提案しています。

Point 4:結果はあくまでも客観的基準によるべきことを強調せよ

選択肢が出揃ったあとは、その選択肢の中から1つを選ぶだけです。
ただ、この決定を主観(=感情)に委ねては本末転倒です。

そもそもお互いが何によって納得・満足するかは人それぞれです。ですので、市場価格、専門家の意見、法律といった公平なモノサシを用いて客観的基準を定めるようにしましょう。

重要なことは、基準作りに自身の感情を持ち込まないこと。あくまで論理的に話し合うことです。さらに恣意的な基準にならないようにする方法として「一人がケーキを切り、もう一方が選ぶ方式を取れ」と本書では述べています。

”一人がケーキを切り、もう一方が選ぶ方式を取れ”とは、一人は基準作りで主導権を持ち(=ケーキを切る人)、もう一方は作った基準から好きな基準を選択する(=ケーキを選ぶ)という意味です。

基準が1つのモノサシにならないことが前提ではありますが、こうすることで最終的な合意に納得感を持って進めることが出来ると述べています。

感想

本書を最初に読んだ時、”人と問題を分離せよ”から始まるにも関わらず。あまりにも多くの部分で人の感情について説明が書かれていて戸惑いました。

しかし本書を何度も読む中で、感情が交渉時に及ぼすマイナス面をロジカルシンキングを使って排除しつつも、友好関係が深まる結果に至るために気にしたほうがいい感情があることを教えているのだとわかりました。

おまけ:関連本

別の切り口からより交渉について理解を深めたい方は、次の本もオススメです。

エリヤフ・ゴールドラット(著),三本木亮 (訳),ダイヤモンド社 (2002/2/23)

私は本書のコミック版を読みましたが、こちらはPpoint2-①で記載した”双方の利益の発見”を図を用いて視覚化する方法(思考プロセス)についてまとまっています。図を書くことで誰にでもわかりやすく見返しやすくなりますし、本書では、その図をビジネス上の課題解決に応用しているので、交渉以外の活用方法も学ぶことが出来ます。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

本の要約のため、本書に書かれた数々の具体例は全部割愛してしまいました。具体例には、そのまま使える受け答えまで記載されていますので、もし興味を持たれた方はぜひ読んでみてください(^^)!

ではでは、本日も素敵な一日になりますように。